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議会報告

第385回(令和5年9月21日)定例会 一般質問

1.自治体間の広域支援体制の充実強化について

Q.県内市町間や近隣県との連携強化など、災害時の広域支援体制の充実強化にどう取り組んでいるのか。

A.中村時広 知事

大規模災害の発生直後、避難所運営や災害廃棄物処理、罹災証明発行等を被災自治体のみで対処するには限界があることから、迅速かつ適切に実施するため、県内市町間に加え、四国や中四国、全国レベルでの都道府県間の広域支援体制を構築し、災害発生時に相互応援をこれまでも行ってきたところ。西日本豪雨災害でも、南予4市町に対して、県内12市町、県外は9都県から延べ6千人を超える行政職員の応援を受け、災害応急対策や生活再建に尽力いただき、広域支援の重要性を認識。このため、その後の支援マニュアル等の見直しや研修会等によるスキルアップに加え、県総合防災訓練ではカウンターパート先である他県や市町に毎年参加いただき、共に実践を重ねるなど、広域支援の更なる実効性向上に努めている。また、災害マネジメント力を向上させるため、市町災害対策本部の支援や防災機関との調整等を行う支援員を、県・市町の防災担当者を中心に、これまで68名養成。昨年12月の雪害時には久万高原町に支援員を派遣し、町長等へ直接助言して、派遣部隊と自衛隊の活動箇所等を調整したことが除雪等の迅速化に繋がるなど効果を発揮している。今後とも激甚化する大規模災害に万全を期すため、訓練等を通じ自治体間の連携に努め、広域支援体制の充実強化に今後も取り組んで参りたい。

2.林業の支援について

Q.現在の県内のJ-クレジット取得事業者の状況と今後の見通しはどうか。また、J-クレジット取得に向けた取組みはどうか。

A.末永洋一農林水産部長

森林管理により吸収されたCO2を認証し、販売するJクレジット制度は、SDGsの目標達成に貢献するもので、県内では、3つの森林組合と西予市で合計8,781トンがクレジット化され、うち2,106トンの販売収益が森林整備に活用されているほか、石油元売り会社と協定を締結した久万高原町では今後の取引が見込まれている。この制度は、森林吸収量を価値化して現場に還元できる反面、登録審査に多大な労力を要することが課題であったことから、国では認証対象期間や算定対象などの要件を緩和し制度の活用を促しており、全国的な需要の高まりと相まって取引の広がりが期待できると認識。このため県では、登録に必要な間伐等の施業履歴の把握や森林経営計画の策定を効率的に行うための航空レーザによる計測データの活用、森林組合等が行う森林整備への支援等を行ってきたほか、今年度から新たに、購入者とのマッチング支援や創出者の意欲を喚起するセミナーの開催にも取り組んでおり、今後とも、森林の機能を活用した森林整備のための資金獲得を促進し、持続可能な森林経営と林業の活性化につなげてまいりたい。

Q.林業従事者の確保にどのように取り組むのか。

A.中村時広 知事

林業従事者が減少傾向にある中で、森林の適切な管理と資源の循環利用を図り、災害防止や水源涵養など森林の持つ多面的機能を発揮させるためには、これまでに培われてきた林業従事者の優れた技術や経験を、将来に渡り継承できる担い手の確保・育成が喫緊の課題である。このため県では、高校生等の体験研修や就業相談会の開催をはじめ、就業給付金の支給や林業研究センターでの各種技術研修を実施し、新規就業とその定着を図るとともに、作業の効率化や労働負荷の軽減等を図るため、高性能機械や安全装備等の導入を支援するほか、今年度から、急速な進化が続くデジタル技術を活用したスマート林業を実践できる人材の育成にも着手したところ。また、林業のすばらしい魅力を理解いただくため、「えひめ愛顔の農林水産人」や林業女子会「林凜ガール」の活躍を広く情報発信するとともに、外国人材活用のための制度改正を国に提案するなど、林業のイメージアップや多様な人材の確保にも取り組んでおり、今後とも関係団体や林業事業体と連携しながら、就業意欲の醸成と定着に至るまでの研修などを通して林業従事者の確保・育成に努め、持続可能な林業の実現につなげてまいりたい。

3.活力ある地域づくりについて

Q.活力ある地域づくりに向けて、地域活動を行うNPO法人の活性化にどのように取り組んでいるのか。

A.池田貴子 県民環境部長

人口減少や少子高齢化など社会構造の変化等による地域活力の低下が危惧される中、NPO法人は、多様化する社会ニーズに応えることが期待され、県内では8月末現在510法人が福祉や防災、教育など様々な分野で主体的に活動しており、個性ある地域づくりや地域課題解決の担い手として重要な存在であると考えている。このため、県では、魅力ある地域の基盤づくり等のため、地域課題解決を担うNPO法人の確保を掲げ、これまで、設立・運営相談や助言・指導、愛媛ボランティアネットを活用した制度の普及啓発などのほか、あったか愛媛NPO応援基金を活用した助成事業や運営能力向上のための研修会の開催等により、育成・支援の両面から法人活動の活性化に取り組んできたところ。今年度も、NPO法人が地縁団体や地元自治体と協働して移住者獲得を目指す取組みや歴史・文化の伝承活動など、地域に根差した活動を支援するとともに、来月には、団体相互で連携・協力するネットワークづくりの推進を図るセミナーを開催することとしており、引き続き、NPO法人の一層の活性化を図り、多様な主体が協働した活力ある地域づくりに取り組んでまいりたい。

4.高校の魅力向上について

Q.小中学校でICT教育を受け、知識や技能が高まった子どもたちの進学先についてどう考え、どう取り組んでいくのか。

A.教育長

県教委では、令和2年度に小学校から高校までを見通したICT教育3か年計画を策定し、児童生徒の発達段階に応じた情報教育を計画的に実施しており、高校段階では、今年度から全ての県立高校等でプログラミング学習アプリを試験導入し学習レベルの底上げを図るほか、プログラミングのスキルアップを目的としたサマースクールやコンテスト等を開催するなど、より高度な学習内容を希求する生徒への取組みも拡充している。また、本年3月に策定した県立学校振興計画においては、理数情報科や情報マネジメント系列など、情報教育に重点を置いた学科等を東中南予に各2校ずつ設置することとし、より高度な情報教育を希望する生徒が、地域内の高校で学びながら第一希望の進路実現が可能となるような体制づくりも進めており、県のDX実行プランに呼応してデジタル人材の育成に取り組む県内の大学や企業との連携を強化しながら、情報関連分野への進学・就職を目指すカリキュラム等の検討を進めている。県教委では現在、第2期3か年計画の策定を進めており、引き続き小中高各段階での情報教育の連関を重視しながら、一貫性のある教育実践に取り組んで参りたい。